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ぶっ飛ぶ円盤

  是くの如く我聴けり
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 前口上

   
  

 スポーツは、アスリートだけのものじゃない。
 例えば ソファーに寝転がりながら野球中継を見るのも、
 スポーツの楽しみ方の1つだろう。
 
 グルメじゃなくても、「おいしい」と感じることはできるし、
 ソムリエじゃなくても、お酒は飲める。
 
 音楽も、もちろん ミュージシャンだけのものじゃない。
 楽譜は読めなくても、聴いて楽しむことができる。
 
 CDが売れなくなったと言われて久しいが、
 原因はダウンロードの普及によるものだけではないだろう。
 現代は、いろいろな価値観が並び立ち、互いに相対化されている。
 そんな中で、いつまでも選別や、囲い込みをやるから敬遠されるのだ。
 音楽は、もっと解き放たれるべきである。
 
 あら?話が何か大袈裟になってきた。いかん、いかん。
 「もっと気軽に、好き勝手に聴こうぜ」って、
 言いたかっただけなのに。
 
 まぁ、好きで音楽を聴いている人は、
 言われなくても 好き勝手に聴いているだろう。
 だけど、
 「好き勝手に、といわれても わからない」 という人もいるからなぁ。
 う~む。

 あ、では、とりあえず こういうのは どうだろう。
 「音楽とフリー・トーク」
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 前口上 つづき

 ここは、「音楽」と書いて、“ミューズ”と読みたいところ。
 むろん薬用石鹸のほうではない。“音楽の女神”のほうである。

 音楽の聴き方を問われて、
 味気なく「音声データを入力し、脳内の既存データと照合せよ」
 などと答えるよりは、
 「音楽(ミューズ)とフリー・トーク」 
 のほうが、イメージが拡がると思ったのだが。 

 それでは、これから
 私が どのように音楽を聴いているかを書いていきたい。
 「こんな聴き方がアリなら、自分だって聴ける」
 と思っていただければ幸いである。

 私は たぶん、クラシックも、ジャズも、ブルースもロックも、
 ポップスを聴くように聴いている。
 それは ひとつには、歴史的・文化的価値を理解できるほど 多くの音源を聴いていないことにもよるだろう。
 あるいは、専門的に1つを掘り下げるような聴き方が出来ないことにも拠るかもしれない。雑食性というか。
 
 つい、インパクトのある音、印象的な音に飛びついてしまう。
 エンターテイメント性重視といえるかもしれないが、
 じっくり聴けば味わい深い曲をスルーしている可能性も高い。
 
 伝統的な解釈を重んじる、正統派の音楽愛好者の方は、
 私の あまりに表面的で しかも ねじ曲がった解釈に対して
 気分を害されるかもしれない。
 だから、この先は自己責任で読んでネ。 
 
  

  ※ 『ぶっとぶ円盤』 は、2007~2008年に書いたブログ
    『ミューズ~やくようせっけんじゃないほうの』 を
    大幅に加筆・修正したものです。
    一部内容に重複があったり、
    また、逆に当時とは意見が変わって
    正反対のことを述べている場合もありますので、
    その旨、ご承知おきください。

『白鳥の湖』 チャイコフスキー

 
    
俺の白鳥の湖では勝てない!

 ドリーブの 『シルヴィア』 を聴いて、チャイコフスキーが
 そう言ったとか、言わなかったとか。
 たしかに 『シルヴィア』 には、洗練された美しさがある。
 それに比べて 『白鳥の湖』 はイモ臭い。 

 けれども、それがチャイコフスキー最大の魅力なのだ。
 『白鳥の湖』 はスウィートポテトなのである。
 オシャレではないけれど、つい手が伸びてしまう。
 「音楽が大好きだ!」 という、チャイコフスキー情念が、
 ダイレクトに伝わってくる心地よさ があるのだ。 

  第1幕 第2番 「ワルツ」
  チャイコフスキーは、交響曲に [掟やぶりのワルツ挿入] をしてしまうほどの
  ワルツバカ、もとい 隠れワルツ王 である。
  ワルツといえば優雅なイメージだが、
  この曲は、ドラムやシンバルが騒々しく鳴り響く。
  しかし、それがために いっそうメロディの美しさが際立つのである。

  第2幕 第13番e 「オデットと王子のパ・ダクシオン」
  甘美の極み。
  美しいハープの音色で始まり、まとわりつく水飴のようなヴァイオリンの旋律。
  管楽器が鳴り始めると、旋律は高原のミントのように爽やかに響くが、
  やがてまた濃厚な甘さが、憂いとともに襲ってくる。
  ベタな展開ではあるが、だからこそ、切なくなること確実。

  第3幕 第20番 「チャルダッシュ」
  スロウで重たい空気の中で不穏な美しさを放つメロディ。
  と突然、音楽は 強く激しく速く なる。(無論、美メロは健在)
  この、緩急の落差にやられる。

  第4幕 第20番『情景」、第21番「終幕」
  魔法によってオディールを花嫁に選んでしまったジークフリートは、
  オデットに許しを請う。
  そこへ現れた 悪魔ロットバルト。
  ジークフリートは怒りに燃えてロットバルトを討ち破るが、
  白鳥達の呪いは解けない。
  ならば せめて天国で結ばれようと、ジークフリートとオデットは湖に身を投げる。
  このラストは 何度聴いても、泣ける。

      

         オデット              オディール


  『白鳥の湖』 を聴くようになったのは、
 小学生の頃、『ドカベン』で、殿馬が、
 「秘打 白鳥の湖」などとやっていた頃である。

   

 「そういえば母がレコードを持っていたな」
 ふと思い出して かけてみて、はまってしまった。
 以来、高校生の頃まで、毎日のように聴いても、飽きることがなかった。
 

『くるみ割り人形』 チャイコフスキー

 クラシックのCDは、同じ曲でも 指揮者、演奏者、録音時期
 によって、たくさんのヴァリエーションがある。
 “名盤” といわれるものでも、必ず自分が気に入るとはかぎらないので、
 結局どれを選べばいいのか、わからない。

 もっとも、最初に目にするものを親だと思うヒナのように、
 最初に聴いたヴァージョンが、その曲の よしあし の基準になってしまうことも多い。
 私が最初に 『くるみ割り人形』 を聴いたのは レコードの時代で、
 父が持っていた ソニー・ファミリークラブ クラシック名曲集か何かの中の1枚だったと思う。

 CDの時代になって、自分でも 『くるみ割り人形』 を買ったのだが、
 どうしても気に入らない。
 「金平糖の踊り」 のチェレスタが、何か違うのである。
 さらに もう1枚買ったが、これも気にいらない。
 「同じ曲なら、どれもたいして違うまい」 と思ったワタクシが馬鹿だった。

 “運命の1枚” には、偶然に めぐりあった。
 中古CDのワゴンの中に、それは あった。
 あまり期待しないで購入し、聴いてみると …
 「こ、これだぁ~」

 心を掻き乱す、チェレスタの妖しい響き。
 『くるみ割り人形』 の“トワイライト・ゾーン”。
 このCDの 「金平糖の踊り」 は、今も 聴くたびに ゾクッ とする。


      
    クリスマスプレゼント          人形と鼠の戦い                金平糖の踊り

 
 まぁ、実家のレコードの指揮者・楽団・録音年などを調べ、
 「このヴァージョン、CDで出てますか」 と、お店に訊いて、
 取り寄せてもらえばよかったのだろうが …
 若い頃は、そんなことも思いつかなかったんだなぁ。
   
  
  チャイコフスキー                   

                                          

『ヴァイオリン協奏曲』-第1楽章- メンデルスゾーン

 メンデルスゾーンの音楽を聴くと、
 そのフェリックスという名前に ふさわしく、
 幸福な気分になる、といわれる。

      (日本名なら さしずめ、「幸児」 だろうか)        

 「陰鬱さに欠ける」 などと評されることもあるが、たしかに、
 (ベートーベンのように)眉間に縦皺を寄せたメンデルスゾーンなど想像できない。
                           
 だが、陰が足りないからといって、
 締まりのない のっぺりとした音楽か というと、決して そうではない。
 徹底的に(何しろ裕福だから …) 先人の音楽を研究し、
 古典のエキスを自家薬籠中のものとしたうえで、
 そこに自らの“夢と詩情の世界”を組み込んでいる。

 メンデルスゾーンを聴けば、
 井戸田潤でなくとも、思わず あのセリフを叫ぶに違いない。        
 美しいメロディを聴きたければ、迷わずメンデルスゾーンを選ぶべし。

 中でも、甘美(藤山ではないほうの)な世界に どっぷりと浸れるのが、
 『ヴァイオリン協奏曲』ホ短調 作品64  第1楽章 である。

 多くのヴァイオリニストが その名人芸を録音しているが、
 私の お気に入り は、
 オイストラフが コンドラシン指揮のソビエト国立交響楽団をバックに
 弾いている ヴァージョンである。(VICC-2017) 

   

 ヴァイオリンの音色が、とにかく美しい。
 かなり濃厚で、灰汁の強い演奏(及び録音)だが、
 これがクセになる。これでないと落ち着かない。

 唯一の問題は、
 あまりに甘美すぎて、ヘヴィーローテーションで聴き過ぎると
 胸焼けしそうになることである。

 そんな時は、諏訪内晶子のヴァージョン(UCCD-50004)
 を聴く。

   

 こちらは、カッチリと仕上げてある。
 メンデルスゾーン=甘ったる過ぎる というイメージを覆すべく、
 ムードに流されないように感情を律して、
 メロディの美しさが前にでるように心掛けている。
 砂糖不使用、蜂蜜と果実の天然甘味で作りました、というような
 真摯な演奏だ。

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