当時は、早い人だと小学校高学年頃から聴き始めたそうだが、
ワタクシが “ロック” に目覚めたのは、高校生の時だった。
ある日、ラジオから
「PERFECT STRANGERS」 という曲が流れてきた。
なんでも、伝説のロックバンド
ディープ・パープル が“復活”した という。
うわ、この曲カッコイイ、と曲の途中から慌ててカセットテープ(古い!)に録音した。
3曲続けてということだったので、
「KNOCKING AT YOUR BACK DOOR」 と 「A GYPSY'S KISS」 は、丸々 録音できた。
それまでにも、ビートルズだとか、ストーンズだとか、
いわゆる“ロック”系の曲は耳にしたことがあったはずだが、
ふ~ん そんな曲があるのか、という程度で、特にカッコイイとは思わなかった。
ディープ・パープルを カッコイイ と思ったのは、
(今 思えば)ロックのビートに
クラシックのように美しく、歌謡曲のようにポップな メロディが ミックスされていたからだろう。
それでも、この時に聴いていなければ、
好きになることはなかったかもしれないが。
思い出話は これくらいにして …
ディープ・パープルの復活アルバム 『PERFECT STRANGERS』 は、
1984年に発売された。
全盛期をリアルタイムで経験されている方は まだ物足りない という。
しかし、ワタクシ達のような後追い組には、
十二分過ぎるほどに魅力的なアルバムである。
リッチー・ブラックモアは、極上のフレーズを 流れるように 紡ぎ出していく。
少し前まで RAINBOWで 「FIRE DANCE」 や 「MAKE YOUR MOVE」を弾いていたのだから、
まだまだ派手なプレイも出来たはずだが、
ここでは ギターを歌わせる ことを より心掛けているようである。
イアン・ギランの声は、年を重ねて魅力が増した。
若い頃のようなモンスター・シャウトは使えなくても、
全身全霊を込めた、豊かな歌心に魂が震えた。
(その後、また酒に溺れてしまうのだが … )
この歌を「下手だ」という人がいるのが信じられない。
本人は もう少し実験的なプレイも演りたかったかもしれないが、
ジョン・ロードほど、ツボを抑えた演奏が出来る人はいない。
痒いところに手が届く というか、
そう そこ そこ う~ん いいトコ突いてくるな~ という感じ。
彼のキーボードのおかげで、曲がグッと引き締まる。
RAINBOW時代は リッチーのサポートに徹していた
ロジャー・グローヴァーだが、
昔を思い出してか、少し前に出てきている。
『MACHINE HEAD』あたりを 密かに聴き直している姿を想像すると楽しい。
独特のベースラインも健在。
贅沢を言えば、
イアン・ペイスのドラムは、ちょっと平板な気がする。
人一倍 “音” に こだわってきた人のはずなのに …
力量を出し切れていない感じ。もったいない。
サポートに徹するにしても、職人芸的カッコよさを発揮できると思うのだが。

ディープ・パープルの音楽を、「スカスカだ」と言って嫌う人がいる。
たしかに、彼らの曲は 煮詰め不足のところがある。
それは、曲作りの方法にも一因があるだろう。
1つのアイデアにワーッと むらがって 肉付けし、曲にしていく方法で
数々の傑作を生み出してきたとはいえ、
このやり方だと、刹那的な ひらめき に頼らざるを得ない。
たいした ひらめき がない場合は、のっぺりとした曲が出来上がってしまう。
曲のクオリティという面で、出来・不出来の差が激しいのだ。
だが、
綿密に練り上げ 作り込む作風のアーティストのほうが ハズレ感 は少ないとしても、
1曲の傑作、1つの珠玉フレーズに出会う喜びが、
ディープ・パープル(特にⅡ期メンバー)のアルバムには ある。
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