ジャケ写(ジャケットの写真)を見て思ったこと。
「ジェーン・バーキンって、高橋ひとみに似てる」
とくに口元が。
(ん?この写真、島谷ひとみ じゃないよね)
歌に容姿が関係あるのか!と、お思いだろうが、
おおいに関係がある。
その人の声は、容姿、特に骨格と口元に因るところが大きい。
したがって、ジェーン・バーキンの歌を唱う時には、
ジェーン・バーキンの口元を意識して唱うとよい。
そうすれば 発声の際、特有の “引っ掛かり” がでる。
ただ、高橋とは鼻の形が違うので、
当然、鼻への掛かり具合は違う。
まぁ、信じるか、信じないか は、貴方次第ということで ( … )
先に進もう。
ジェーン・バーキンといえば、やはりウィスパー・ヴォイス。
訳すれば ささやき声 となるが、実際の歌唱では、
息漏れ声、つぶやき声 なども含まれると思う。
ウィスパー・ヴォイスといえば、甘ったるいイメージがあるだろう。
もちろん、ジェーンのウィスパー・ヴォイスにも、甘みはある。
(ファルセット気味の高音部など)
だが、酒と煙草の香りを連想させるような、
なんだか少し塩辛い味がブレンドされている。
(声の かすれ具合、ヴォイス・コントロールの粗密など)
この声を聴けば、一片の曇りもないような善人でも、
自ら進んで懺悔をしたくなるだろう。
それくらい、締め付けられるというか、苦しくなるというか、
涙がボロボロ出てくるような 声である。
で、
このベスト盤のイチオシは、やはり、
1.L'aquoiboniste 「無造作紳士」(1978) 。
少し籠ったような 湿ったような 電子鍵盤の音。
その音と会話をするようなジェーンのヴォーカル。
どうすることも出来ない もどかしさ に 胸が掻き廻される。
もう1つ、
10.Baby alone in Babylone 「バビロンの妖精」(1983)
も捨てがたい。 (まぁ、捨てる必要はないが)
原曲は、ブラームスの交響曲第3番第2楽章。
土の薫りがするメロディである。
まるで病床でつぶやくような、不安定で儚い声には、
森田童子のような ある種の厭世観すら感じられる。
キャデラックやロールスロイスといった、車の名前を並べる歌詞
などは、あのオッサンのやりそうな おふざけだが、
ジェーンが唱うと感動的に聴こえてしまう。
← このオッサン(アコアボン?)
ドン・ドッケンの甘いヴォーカルと、
ジョージ・リンチの激しいギター。
両極端とも言える組み合わせが、奇跡的な “不調和の調和” を生む。
それが、DOKKEN というバンドの魅力である。
甘いだけでは軟弱、
激しいだけでは騒音、
何ら特別ではない。
ドンの歌は確かに美しいが、ロバート・プラントに比べれば声が ほそい。
ジョージのギターも、“ミュージシャンズミュージシャン”といわれるように
抜群のテクニックだが、エドワード・ヴァンヘイレンほどの独創性はない。
ところが、ジョージのギターでドンが歌えば、極上の音楽になる。
まるで異なる成分を調合して えも言われぬ香りを放つようになるフレグランスのように。
このアルバムは、1988年に日本で行われたドッケンのライブを編集したもの。
ベストアルバムのような選曲で、ドッケンを初めて聴く人も楽しめる。
ただし7曲目のインストは、「やりすぎ」と思う人と、「かっこいい」と思う人に分かれるかもしれない。
だが、それもまた、ライヴならではのスリリングさ であろう。
ライヴならではといえば、このアルバムでは
ドンの掛け声 が印象に残る。
2曲目「TOOTH AND NAIL」 に入る前の
Are you ready for rock'roll party tonight?
6曲目「INTO THE FIRE」 では、
イントゥウ・ザ ファーァイアー
と、あの美声で歌うようにタイトルをコールする。
そして8曲目「HEAVEN SENT」 での、コール&レスポンス。
ドン:ウォ~オ~ォ~ オーディエンス:ウォ~オ~ォ~
ドン:ワンモアタ-イム
ドン:オォ~オ~ォ~ オーディエンス:オォ~オ~ォ~
ドン:ワンモア タ~ァァァイム
ドン:オォ~オ~ォ~ オーディエンス:オォ~オ~ォ~
ほそい・あまい・うつくしい。この三拍子がドンの真骨頂だ。
あ、
ちなみに、ライヴ・アルバムなのに最後、
シングル曲が収録されているのは、
これを以ってDOKKENが解散してしまうからである。
『BEAST FROM THE EAST』(LIVE IN JAPAN) DOKKEN (1988)