世に音楽アルバムは数々あれど、このアルバムほど すばらしい ものはない!
(※個人の感想です)
艶やかなギターの音色、圧倒的に高いテンション、
このアルバムを聴いた後は、他のものが しばらく聴けなくなるだろう。
1.HIGHWAY STAR
すさまじい疾走(ドライヴ)感!徹底的な様式美!華麗なギター!
最高のアルバムの、最高の曲における、最高の演奏!
(ギター・ソロの所で、沢田研二の「TOKIO」のメロディが聴こえるのはワタクシだけ?)
2.CHILD IN TIME
ジョン・ロードのオルガンが、静かに曲の始まりを告げる。
語りかけるような イアン・ギランのヴォーカル。
しかし次の瞬間、でた~超人的ハイトーン・シャウト!
♪アァ~ァァ~♪
3.SMOKE ON THE WATER
例の耳に残るギターリフが有名。
ライヴなのでミスタッチをするのだが、
それさえも 意図的演出 だと思えるワタクシは、
完全にブラックモア信者?
スイス モントルー ジュネーブ湖畔の火事
4.THE MULE
イアン・ペイスのドラムを堪能しよう。
5.STRANGE KIND OF WOMAN
ジャズでいえば、Jr.モンテローズとピート・ラ ロッカのチェイスを連想させるような、
ギランとブラックモアの掛け合いが感動的。
ヴォーカルは楽器のように歌い、ギターは歌うように演奏する。
“声” は、弦楽器にも 管楽器にも 打楽器にも 替わりがきかない、すばらしい楽器なのだ。
6.LAZY
ジャズ、ロック、ブルースなど、いろいろな要素が渾然一体となった、パープル流のSWING。
途中、リッチーが「NHKきょうの料理」のテーマを奏なでたのには驚いた。
客席が小さくどよめき、拍手喝采。
7.SPACE TRUCKIN'
ペイスのドラミングが、とてつもなくカッコイイ。
後半 延々と続くロードのオルガン。これがアラウンド’70だ!
すべてのCDの頂点に立つ作品(※個人の感想です)ではあるが、
ヴォーカルの音を もう少し大きく入れてほしかったことと、
7曲目のオルガンパートは やっぱり長い というところで、
ワタクシの満足度は、89% とさせていただきたい。
husky voice (ハスキーヴォイス) を、[しゃがれ声] と訳してある英和辞典がある。 |
ひどい、非道すぎる! |
それを読んだ中高生が、 |
「あぁ、ハスキーヴォイスって、魔法使いのお婆さんみたいなブキミな声かぁ」 |
と思ってしまったらどうする。 |
辞書にはこう書くべし。 ― husky voice = ジュリー・ロンドンのような声 ― と。 |
一説によると、最初に“ハスキーヴォイス”と呼ばれたのは、 |
1955年に録音された『JULIE IS HER NAME』の1曲目、 |
「CRY ME A RIVER」におけるジュリーの声だという。 |
そこで聴かれる歌声は、 [しゃがれ声] とは、ちょっとニュアンスがチガう。 |
どちらかといえば [抑えた声] [ツヤを消した声] という感じである。 |
聴く人によっては、 「哀しさ」「さびしさ」のような感情を呼び起こすかもしれない、 |
そんな声。 |
ジュリー本人は、自分の歌について 「声量がないから、ああいう歌い方になった」 と、言っていたようだが。 |
なるほど、声量のなさを逆に武器にするのか。 |
人は、遠くにいる人を呼ぶ時、大きな声で叫ぶ。 |
けれども、夜中に二人っきりだったら、小さな声で充分だ。 |
その点、ジュリーは大声を張り上げて歌ったりしないから、 聴く人が、すぐ傍で語りかけられているような錯覚を起こす。 |
もちろん、“ハスキーヴォイス”と命名される以前にも、そういう声の人はいたし、 その後も、ハスキーヴォイスは、さまざまなヴァリエーションを生み続けている。 |
けれども、そんな中でも、いまだに ジュリー・ロンドンの歌声はスペシャルな存在であり続けている。 |
![]() ![]() じつは、必殺の“ジュリー・ロンドン唱法”には、 “ハスキーヴォイス”にさらに第2、第3のワザがブレンドされているのだ! |
第2のワザ、それは“ヴィブラート”。 |
つまり、声を揺らして♪あ―♪から♪あぁあぁ♪に変化させるのである。 |
そうすれば、相手の心を揺さぶることができる。いや、本当に。 |
「声を揺らせば、心も揺れる!」リピートアフターミー! |
だが、“ハスキーヴォイス”と、“ヴィブラート”だけでは、ちょっと重たい。 |
ここは、聴く人のカカトがフワッと浮くような、 カラダが天にむかって2cmくらい引っぱられるような、 そんなスウィートな味付けが欲しいところ。 |
そこで、第3のワザは、 鼻の頭の裏側付近を意識しながら声を出す |
というもの。 [鼻声]とは、ちょっとチガう。 詰まらせるのではなく、上に抜く感じ。 |
これで歌声に[甘み]が出る。 |
ワタクシは、この技を“スウィート・ノーズ”と(勝手に)呼んでいる。 |
“ハスキーヴォイス”“ヴィブラート”“スウィート・ノーズ”の3つは、 ロックや演歌などなど、いろいろな歌を歌うときにも応用できるすぐれものである。 |
もちろん女性だけじゃなく、男性も使える。 |
では、ジュリー・ロンドンがどんなふうに使ってるか、ちょっと聴いてみよう。 |
♪Now you say you’re lonely♪ |
1音目から いきなり“スウィート・ノーズ”が炸裂! |
次に、ァ~ゥと伸ばしながら、“ハスキーヴォイス”にスライドさせる。 |
♪セイユアロンリー♪ |
と音が下がっていく部分は、“ハスキーヴォイス”の聴かせどころ。 |
ここでは、音の高低差と発声の変化との相乗効果を、うまく活かしている。 |
♪cry me a river♪ では、 まずクラーイのラーをストレートに伸ばしておいて、 リヴァ~のヴァ~に“ヴィブラート”をかける。 |
伸ばすところ全部に“ヴィブラート”をかけてしまうと、ちょっとしつこくなる。 |
ノン・ヴィブラートと対比させることで、 聴く人の心をさらに大きく揺さぶることができる。 |
追記: |
ジュリーの歌声は、唯一無二と言って良いが、 |
正直、表現の幅が、そんなに広くない。 「何を歌っても同じように聴こえる」 という批評は、 ある意味、いたしかたない部分もある。 |