売れっ子芸奴から流行歌手へ転身した市丸 姐さんは、
小唄・端唄を究めた 艶とコクのある小粋な歌唱で 大人気だったそうである。
日本の歌謡曲・流行歌を聴くときに 押さえておきたいのが、小唄・端唄の歌唱法だ。
例えば、いしだあゆみ の「ブルーライト・ヨコハマ」唱法などは、みごとに小唄的である。
そして、小唄・端唄といえば、市丸 姐さん なのだ!
独特の間(ま)、粗密。
三味線(のフレット・レス)を連想させる、揺れる音階。
高低差のある節廻し。
そして、高音は、少し鼻に抜いて、裏返りぎみに細く儚く。
唄を究めた者だけが得られる、深いコクと、魔性の艶。(おおげさ)
では、聴いていこう。
まず1曲目「天竜下れば」 は、民謡テイスト。
バックは三味線(シャミ)&オーケストラ。
1933(昭和8)年のヒット曲。
それにしては、音が新しいようなので、おそらく再録だろう。
朗々と響かせるのではなく、柳のようにユラユラと揺れる歌唱が また粋である。
2曲目「ちゃっきり節」は、教科書などで有名な、あの北原白秋 先生が作詞。
ちなみに[白秋]の反対語が[青春]。
♪蛙(きゃある)が啼くんで雨ずらよ♪ よっ、名調子!
9曲目
「三味線ブギウギ」は、服部良一 氏 の作曲。
ブギ といっても、そこは服部メロディ。
スイング・ジャズというか、行進曲(マーチ)というか、ジャパニーズ・ブギ。
シチューの中に素麺を入れるような、この無茶苦茶ぶりは、
当時の歌謡界に、新しい風を吹き込んだらしい。
なんたって、♪はろおべいびい しゃしゃりつ しゃんしゃん♪ である。
あげく、
♪踊りゃよくなる ますますよくなる 茄子も南瓜も景気もよくなる♪ と くる。
よぉーし、みんなで この歌 歌って、景気をよくしよー。
11曲目は端唄 「お江戸日本橋」。
よっ、待ってました。にっぽんいち!
13曲目「綱は上意」。
粋な旦那は、“つなじょう”なんて云うそうでございやす。
端唄のなかでも、難曲中の難曲なんだとか。
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つづきはコチラ。まあ、以下、蛇足だが ↓