ドン・ドッケンの甘いヴォーカルと、
ジョージ・リンチの激しいギター。
両極端とも言える組み合わせが、奇跡的な “不調和の調和” を生む。
それが、DOKKEN というバンドの魅力である。
甘いだけでは軟弱、
激しいだけでは騒音、
何ら特別ではない。
ドンの歌は確かに美しいが、ロバート・プラントに比べれば声が ほそい。
ジョージのギターも、“ミュージシャンズミュージシャン”といわれるように
抜群のテクニックだが、エドワード・ヴァンヘイレンほどの独創性はない。
ところが、ジョージのギターでドンが歌えば、極上の音楽になる。
まるで異なる成分を調合して えも言われぬ香りを放つようになるフレグランスのように。
このアルバムは、1988年に日本で行われたドッケンのライブを編集したもの。
ベストアルバムのような選曲で、ドッケンを初めて聴く人も楽しめる。
ただし7曲目のインストは、「やりすぎ」と思う人と、「かっこいい」と思う人に分かれるかもしれない。
だが、それもまた、ライヴならではのスリリングさ であろう。
ライヴならではといえば、このアルバムでは
ドンの掛け声 が印象に残る。
2曲目「TOOTH AND NAIL」 に入る前の
Are you ready for rock'roll party tonight?
6曲目「INTO THE FIRE」 では、
イントゥウ・ザ ファーァイアー
と、あの美声で歌うようにタイトルをコールする。
そして8曲目「HEAVEN SENT」 での、コール&レスポンス。
ドン:ウォ~オ~ォ~ オーディエンス:ウォ~オ~ォ~
ドン:ワンモアタ-イム
ドン:オォ~オ~ォ~ オーディエンス:オォ~オ~ォ~
ドン:ワンモア タ~ァァァイム
ドン:オォ~オ~ォ~ オーディエンス:オォ~オ~ォ~
ほそい・あまい・うつくしい。この三拍子がドンの真骨頂だ。
あ、
ちなみに、ライヴ・アルバムなのに最後、
シングル曲が収録されているのは、
これを以ってDOKKENが解散してしまうからである。
『BEAST FROM THE EAST』(LIVE IN JAPAN) DOKKEN (1988)